戦略的思考 strategic thinking 2004 1 21

 最近、マスコミの間では、
政府の情報統制に不満を持っていますが、
それほど、気にすることではありません。
 政府は、それほど情報は持っていませんし、
また、情報を持っていたとしても、
情報分析が、あまり上手ではないでしょう。
 なぜなら、2003年の政治をよく振り返ってみてください。
2003年の政治の迷走ぶりは、その原因として、
一級の情報を持っていないこと、
そして、持っている情報を上手に活用できていないことです。
それが、2003年の政治の迷走の原因です。
 さて、最近、自衛隊の派兵が、大きな話題になっていますが、
これは、将来に禍根を残すことになるでしょう。
 なぜならば、自衛隊の派兵地域は、シーア派が支配する地域でしょう。
この地域で、自衛隊の戦後復興事業が成功したら、どうなるか。
イラクは、シーア派だけではないのです。
スンニ派やクルド人からは、嫉妬の原因となるでしょう。
「なぜ、自衛隊は、シーア派だけを助けるのか」
 自衛隊の成功が、
スンニ派とシーア派の対立を助長する原因にもなる可能性があります。
そして、スンニ派からも、自分たちの地域にも、
自衛隊を派遣してほしいと要求が出るでしょう。
 そもそも、シーア派は、イスラム社会では、多数派ではありません。
イスラム社会では、スンニ派が多数派です。
 さらに、クルド人をめぐる各国の思惑があります。
クルド人は、イラク、イラン、トルコの各国に広がっています。
クルド独立運動が大きくなれば、
この地域が、世界の火薬庫になる可能性があります。
 さらに、ここが世界の火薬庫になれば、
トルコと中国を結ぶライン上も、世界の火薬庫となる可能性があります。
この地域も、多くの民族が住んでおり、民族紛争の可能性があります。
 また、キルクークは、石油都市ですが、
ここの支配権をめぐって、紛争の可能性があります。
 こうして考えてみると、
自衛隊の派兵予定地が、イラクで一番安全というならば、
この地域は、民間人を派遣すべきです。
たとえ民間人にとって危険でも、商売になれば、民間人は行きます。
むしろ、自衛隊は、キルクークの方がよかったと思います。
クルド人をめぐる紛争の可能性、
石油都市キルクークめぐる紛争の可能性を考慮すれば、
イラク南部よりも、はるかに重要です。
 このように、国際貢献を考えれば、キルクークでしょう。
イラク南部は、イラクでは、一番安定している地域です。
このような地域に派兵しても、国際貢献度は低いですし、
上記のように、将来に禍根を残す可能性があるのです。
 今回の自衛隊の派兵地域の決定は、
いかにも、小役人が考えそうなことです。
政治家が、小役人のようになってしまったのです。
官僚にリスクを取れといっても無理な話です。
リスクが取れるのは、政治家だけです。
その政治家が、小役人のようになっているのは、実に情けない話です。















































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